これまでに何度も帽子を作ろうと挑戦し、ぶざまな失敗を重ねた。
この記事では失敗の原因と、どうやったらうまくいくか。簡単なサイズ調整の方法を紹介する。
向いている生地
表地はニットや夏用のウールがおすすめだ。
生地が厚いと縫いにくく、曲線が凸凹しやすい。芯を貼ると余計に厚くなるので、どちらかというと薄手の生地が向いていると思う。
下記のように切り替えのあるデザインは難しかった。境界線がなめらかに縫えず、ガタガタになった経験がある。(芯に硬い素材を選んだので、なお、難しかった。)

初心者はできれば、表をワントーン、もしくは同系色でまとめるほうが無難だ。
わざわざ生地を買って失敗するとがっかりするので、ひとまず、手持ちのはぎれを使って練習するとよい。
接着芯の選び方
サイドクラウンは、なにを貼ってもそこまで影響しない。
手持ちの接着芯(洋裁用)をはぎれに貼ってみて、スカートのヨークぐらいの硬さがあればいい。
ブリムは、日本バイリーンの「シャープ芯」が不織布で縫いやすかった。
両面に「アツ」を貼って重ねると、だいぶ硬くなる。
キャップやキャスケットのブリムならこれでいいが、クロッシェなどは、もっと柔らかい芯(「ウス」「チュウ」)のほうが縫いやすく表に返すときに簡単だろう。
- サイドクラウン(硬め):アウルスママ AW-M3
- サイドクラウン(柔らかめ):アウルスママ AW-M2
- キャップ、キャスケットのブリム(硬め):シャープ芯「アツ」
- クロッシェなどのブリム(柔らかめ):シャープ芯「ウス」「チュウ」
「アウルスママ」は白と黒があるが、「シャープ芯」は白しかない。
もし芯選びに悩んだら、『接着芯の選び方・貼り方BOOK』のアイテム別一覧を見るのがおすすめだ。帽子に使えるかどうか示されており、安心して使用できる。(例えばダンレーヌR111、R222なども帽子に適している。)
縫製のコツ
トップクラウンとサイドクラウンを縫い合わせるときは立ち上がりが急角度になるため、しつけをして縫うと失敗がない。細かく押さえを上げ、少しずつ縫わないと凸凹になりやすい部分だ。
クロッシェのブリムは長〜い曲線を縫うため、難しいが、表に返してステッチをかけるとき、さらに難しい。場合によっては太い針と糸を使用したほうがいいかもしれない。
最後、ブリムをサイドクラウンに縫い合わせるときは4重になるため、私は太い針と糸を使用した。
頭が大きい人のためのサイズ調整
市販の帽子(58cm)では大抵サイズが合わない。
そんな私でも『かたちがステキな大人の帽子』に掲載のニットキャップ(27)は58cmでジャストサイズだったし、クロッシェ(8)は60cmの型紙を使用し、できあがり線を少し調整したらかぶることができた。
帽子は芯の厚みが影響して、できあがりサイズが小さくなりやすい。
対策としてはブリム(表・裏)の上側のカーブと、サイドクラウン(表・裏)の下側のカーブについて、ぬいしろをいくらか(5mmほど)多めに取っておくといい。

最後に縫い合わせるときに、元のできあがり線の少し外側を縫うことによって大きめの仕上がりになる。
目安としては、1mm線の外側を縫うことによって頭周りが1cmプラスされると言われる。
縫う前にしつけして様子を見るとよいだろう。
今回の作品では指定された線の5mm外側を縫うことによって、頭周りが60cmの仕上がりになり、ジャストサイズになった。(それだけ芯の厚みで大幅にズレていたのだと思う)
作品紹介
今回作った型紙はこちら。

実際に作ってみると、随分つば(ブリム)が大きい感じがしたが……


かぶってみると、ほとんど写真とおなじだ。




柄合わせもがんばったから、見て!

以前使用した高級ウールが中途半端に残っていたのを使い切ることができて、うれしかった。
サマーウールに白い芯なんかを貼ると芯が透けるので、手持ちの黒い接着芯(ダンレーヌR111)を貼った上、さらに帽子用の芯を貼ってある。
過去に表地にリネンを使用したとき、芯を貼ると硬くなり「縫いにくい」と感じたが、裏地に使うぶんには縫いやすく、さらっとして向いていると思った。
少し歪なところもあるが、去年の失敗作よりずっと上手にできた。
前半は14番針、60番糸を使用し、最後の縫い合わせだけは厚いので16番針、30番糸を使用している。
- 生地: DOMINX サマーウーステッド(グレンチェック)、森でみつけたリネン(羽ばたくオオルリ)共にはぎれを使用
- 材料費: 288円(接着芯、サイズテープのみ)
- 型紙: 『改訂版かたちがステキな大人の帽子』より「後ろがチャーミングなデザインクロッシェ」
- 制作日数: 2日間 裁断2.5h、縫製5.5h
- 完成: 2023年7月30日
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