私はパジャマにうるさい。
- 素材は綿かダブルガーゼ。冬はネル。
- 襟付きで夏は半袖、冬は長袖。
- パンツはフルレングス。
- 柄は無地、パイピングは可。
- 色は中間色~寒色。黒、グレーはNG。
ところが、この条件を満たす市販品がほとんどない。
無印良品のものが近いが、柄が入っているものが多い。ガーゼは透けるから。他社は1着1万円以上の高級路線、予算オーバーだ。
予算内でワガママを叶えるには自分で作るしかない……。というわけで、トライした。
準備編
1. 型紙
型紙は、以前にお世話になったRick Rackで調達した。
手持ちのパジャマを測って、ちょうどいいサイズを選んだ。(上はSサイズ、下はMサイズ)
2. 用尺を計算する
型紙を切り取り、ざっくり縦横を測って用尺を計算した。(図面はRick Rackのサイトからダウンロードした)
![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/3362F190-BCBE-415D-98DE-C21B6BF4160E.png)
S+Mサイズを半袖で作る場合、ポケットを省いたら、計算上は3.5mで間に合いそうだった。
ガーゼは水通しすると縮むので、多めに購入した方が良い。
3. 生地を調達する
生地は通販で購入することにして、色見本を取り寄せた。
今回は、生地布専門店HINODEYAのミントグリーンを選んだ。
#52 アンティークミントという色だ。
この生地、色見本の通りなのだが、小さくカットされた見本と比べ、広い面積で見るとどぎつい印象だった。やはり、生地選びは現物を見ないとわからないところがある。
4. 糸と副資材を揃える
生地を注文している間に、色見本持参で細かい資材を買いに行った。
- 手縫い用の糸……フジックス・スパン手縫糸(#54)
- 穴かがり用の糸……フジックス・タイヤー絹穴糸(#45)
- ボタン付け糸……手持ちのダルマ手縫い糸(#35)
- ボタン……糸ボタン 7ケ(SG-0020 ペヨーテグレー)
- 伸び止めテープ……直線部分は「平」、曲線部分は「ハーフバイアス」
- 接着芯……手持ちの普通地用
- パジャマゴム……2cm程度のもの
ガーゼは伸びやすいので、技術に自信がない人は接着芯や伸び止めテープを貼って補強した方が良い。
5. 水通し
生地が届いたら、洗濯機で洗って水通しする。この時点でかなり縮んでしまい、用尺がギリギリだった。
ただし、この型紙、シャツの着丈がだいぶ長い。私は裾を4cmカットした。ここを短縮するならば生地は節約できるだろう。
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工夫した点
ガーゼを縫いやすくするための工夫
![f:id:giovannna:20200218163433j:plain](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/9787D85F-E13F-4E9F-A4E2-ADDBC3C10588.png)
左右の前立てに接着芯、シャツの肩・襟ぐり・アームホールに伸び止めテープを貼った。この工夫により、かなり縫いやすくなった。
「伸び止めテープは接着芯を細く切って代用できる」という人もいるが、仕上がりに響くので、自信がない人はケチらずに買った方がいいと思う。
参考:伸び止めテープ | cherrybonbon洋裁店の『洋裁のススメ』
凡ミスで、前立ての接着芯の位置を間違えていたので次回気をつけたい。
背当ては丸く
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![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/AD986988-580C-4794-B4F9-7A62A9C38647.png)
背当てを付けたくて、型紙を作った。全体としては後ろ身頃の形に合わせ、底辺はゆるやかなカーブの形に落ち着いた。
左右両開きで型紙を作ったので、次回もこの形で作ろうと思う。
難しかった点
アームホールの始末
![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/017D677C-A2AA-4285-8903-0CA2D8D1C6A7.png)
脇の下でT字に交差する部分のバイアステープの始末が難しかった。
共布でバイアステープを作ると、重なる部分が厚くなりすぎて縫いづらい。端の始末を少しずらすか、市販の薄いバイアステープを使う方が縫いやすいだろう。
ボタンホール
![f:id:giovannna:20200218173817j:plain](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/793DF859-D464-4354-A8E3-41C84274B7B1.png)
手縫いでの穴かがりは想像以上に難しかった。
刺繍のように細かく均等幅に縫わねばならないし、糸を引くほんの少しのテンションの差も仕上がりに響く。
はぎれで数回練習してから行ったが、よほど練習しなければ上手くはならないだろう。あまりにも下手なので途中で心折れてしまい、しばらく製作を中断した。
初心者は無理せず、スナップ止めと飾りボタンにしてもいいかも。
できあがり
こんな感じ。
![f:id:giovannna:20200218163518j:plain](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/8C86DE9B-EE4B-43BF-B797-5D0D7CD81847.png)
チャームポイントは糸で編まれた糸ボタンだ。チェコ製で平べったい形をしており、伝統的にパジャマや寝具などに使われたらしい。
![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/89779D5B-A5AF-4F1B-831B-F39EBAA98874.png)
製作日数は上が7~8日、下が3~4日。
穴かがり以外はよくできたと思う。
![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/81B26146-DE05-4FF1-A663-6C98766A0C88.png)
製作費用
- 生地……2,772円+送料【この後、コロナ禍の需要増大で値上がりした】
- スパン手縫い糸……150円
- 絹穴糸……350円
- チェコボタン……700円
- 合計 約4,000円(型紙代2,000円と副資材は別途)
市販品はここに人件費と流通費がのってくるので、1万円以上するのも妥当な金額だろう。
![](https://sewing-giovy.page/wp-content/uploads/2021/04/367BC0E5-DFC6-42C0-BAE5-FB12D2A1928A.png)
オカダヤでは、単色の糸ボタンは間もなく終売するようだ。
単色の糸ボタンが欲しい場合は、東欧雑貨専門店「チャルカ」にて購入できる。(楽天では色数を絞って販売しており、公式の方がバリエが多い。)
追記:リックラックの型紙で縫ったパジャマは非常に着心地が良く、愛用の一品となった。
首元もゆったりとして着やすい。
本文にも書いた通り、着丈は長すぎるので4cm詰めた。ボタンは一番下は省き、5ケで十分だ。(2020年5月)