ボタン穴かがりが美しいことで知られる「エクシードF600JP キルトスペシャル」。
このたび、下位機種である「エクシードF300JP」をユザワヤから7泊8日でレンタルして使ってみた。
9種類のボタンホール
1日目はずっとボタン穴かがりで遊んでいた。
エクシード HZL-F300JPでは9種類のボタン穴かがりをすることができる。
試し縫いでは段差がないので、手を出さなくてもスムーズに進んでいく。
自動でボタンホールが出来上がっていく様子はおもしろく、眺めて飽きなかった。
むらさきで縫った18、19は、かざり用のボタンホールだ。
取扱説明書には「ジャケットのフラワーホール(=襟元にあるかざり用の穴)や袖のあきみせに」と書いてある。
こんなボタンホールが合うのってどんなジャケットだろう。おもしろい!
基本的な穴はこんな感じだ。
上から「はと目」「ねむり」「ねむり」「両かん止め」
左が普通糸#60。右側が太めの#30を使用。
縫い目が密で美しい。
特に#30は隙間がない。#30では糸が針穴を通るように16番の太い針を使用した。
ウールサージ
両かん止め。黒糸が#30。白糸が#60。
#30でも全然問題ない。
本番では段差があるので、手で少しずつ布送りを助けてやるとうまく縫い上げることができた。
できあがって、いざ穴を開けるときに間の糸を切ってしまい一部がほどけてしまった。
ショック!
上から手でかがったところが醜く、ボコボコしている。
思うに、真ん中の隙間がせますぎたのだろう。もっと慎重にはさみを入れるべきだった。
ボタンをすれば、まあ、わからない。
コットンフランネル
柔らかいコットンフランネルは、生地が引っ張られるため、手で上手にアシストする必要がある。
長方形の「両かん止め」は引っ張られてやや形が歪になった。
楕円形の「ネムリ穴」の方がきれいに縫えそうだと感じ、本番ではこちらを採用した。
第二ボタンは位置がずれたのでやり直し、歪になっている。
他は大体きれいに縫えた。
コットンブロード
シャツはボタンホールが多いので、できばえに期待したが……。
第一ボタン
最後にやった第一ボタンが最も難しかった。下は段差だし、位置も斜めに合わせる必要がある。
「ボタン穴かがり押さえ」が大きいので襟が隠れてしまい、角度がよくわからなくなるのが難点だ。
角度が気に入らずに10回ぐらいやり直し、ここでギブアップ!
第二ボタン
第二も目立つ位置なのに失敗して何度もやり直した。
がんばってほどいても、写真のように部分的に細かい芯糸が残ってしまい、取れない。
回数を重ねるほどに残った糸が引っかかり、うまく縫えない。左右の開始位置がずれて隙間ができてしまうのだ。(後述)
10回ほどやり直したところであきらめ、手縫いで仕上げた。
美しく縫えたところ
第一と第二ボタンホール以外は、うまく縫えた。
カフスは段差がないので縫いやすいところだ。
エクシード HZL-F300JPでボタンホールを縫った感想
「全自動穴かがり機能」は使う人の上手なアシストなしに使いこなすことはできない。
はぎれで試してうまく縫えたとしても、本番では段差があったり、位置がずれてしまったり、アクシデントはつきものだ。なにも考えずにきれいに縫えるわけではない。
下手をすると、このように左右の開始位置がずれて、隙間があいてしまうことも……。
(「はと目」だけは縫い方の性質上、こういうふうにならない。)
それでも、これまで使っていたミシンとは比べ物にならない穴かがりの美しさに感動した。
ウールの厚みに引っかかって穴かがりに使えなかった#30の糸もラクに使用できる。
これから家庭用ミシンを買うのであれば、第一候補になりうる機種だ。
少しくらいの価格差なら、やっぱり上位の『キルトスペシャル』を選ぶと思うが……。
ボタン穴かがりに限って言えば、エクシード HZL-F300JPに備えられた「両かん止め」「ねむり穴」「ニット用穴」さえできれば十分だと感じた。
JUKI 家庭用ミシン《エクシード》シリーズをレンタルできる店
私が調べた範囲では下記の3店でこのシリーズのレンタルを行っている。
店名 | 形態 | 利用単位 | 機種名 |
ユザワヤ | 配送による貸出 | 3泊4日から | F300JP エクシード |
Myミシン | 配送による貸出 | 6泊7日から | F400JP ドレスメイク |
coromoza | 時間貸 | 5分〜 | F600JP キルトスペシャル |
ユザワヤは全国配送対応。Myミシンは本州への配送に限る。
いずれの会社も盗難・紛失・修理不能となった場合は商品代金の全額を支払わなければならない。
最小利用単位はそれぞれ異なるが、7泊借りると7,000円以上〜。ざっくり割ると大体1日1,000円ぐらいの計算になる。
coromozaは原宿にあるコワーキングスペースで、各種ミシンの他にトルソー、アイロン、大型スキャナーも料金内で利用可能だ。要予約。料金は1時間パックで1,210円など。キルトスペシャルのセットの中に「ボタン穴かがり押さえ」も含まれている。
追記:2024年7月
その後、ボタンホールのためだけに中古のエクシード300JPを購入した。
エクシードの上位機種(ドレスメイク)を使っている友人、猫木斑さんからのアドバイス。
「布が厚かったり伸びたりするときは、トレーシングペーパーなどを下にはさんで縫うと問題なく縫えるよ」
柔らかいフランネルとかダブルガーゼなんかを縫うときは、そうしたほうが良さそうだ。
シルクやウールも、摩擦の問題でうまく縫えなかったりするので、紙をはさむといい。(つるつる滑りすぎても、滑りがなさすぎても縫いづらい)
まわりの紙は手で取り除いても少しだけ残ってしまうが、洗濯を繰り返すうちになくなってしまうそうだ。
また「糸目が飛んで隙間ができてしまうときは、アシストしすぎかも?」とのこと。私もそんな気がする。ミシンが進むスピードが狂わないように進行方向にはなるべく手を加えず、横位置がずれないようにしっかり見て、横にずれそうだったら手を出すぐらいでいいのだろう。
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