クルールの型紙をアレンジして半袖ブラウスを縫った。
アレンジパターン:
こちらのアレンジパターンを参考にしつつ、身頃は2重にした。袖もレース、裾は三つ折りに。
難しい形ではないが、素材が問題だ。
- 家庭用ミシンでラッセルレースの縁をどのように処理するのか?
- シルクのように滑って逃げまわるクレープデシンを、どうしたら制御できるのか?
課題山積である。それでも、憧れのレースをどうしても縫ってみたくて……挑んだ。
クレープデシンは縫いにくい
最初の工程はダーツだ。
9番の針で薄地用のシャッペスパン糸を使用し、1.0mmの細かい縫い目で縫っていった。ここでいきなり問題に直面した。
ほどいてやり直したいと思っても、目が細かすぎてほどけない!
糸はグシャグシャにほぐれるし、なんなら布目を解いてしまいそう。
デシンのように薄い生地を細かく縫うと縫い直しができないのだ。
いつも『ソーイング・ビー』で観てるやつだーー!!!
とにかく、クレープデシンが縫いにくい。後ろ中心や脇の縫い目にもパッカリングといって細かいシワが寄り、よほど生地を買ってやり直そうかと悩んだ。
結局、生地ももったいないし、やり直しにはキリがないので「習作」と割り切ってこのまま進めることにした。
後から考えれば、布が薄いのが原因なのだから、ハトロン紙でもはさんで縫うべきなのだ。
折りふせぬいや三つ折りは厚みがあるため、ちゃんと縫えていた。
レースのぬいしろはどうする!?
仕様書ではぬいしろはロックミシンを使用する前提になっている。普通なら「裁ち目かがり」で代用できるが、ラッセルレースにかがり縫いなんてできるのか?
やってみたら、撃沈した。
糸が絡まり、ミシンが壊れそうだ。ジグザグ縫いもダメ!
かがり縫いはあきらめて別の方法を取った。
(縁に4mm幅のリボンだとか、細く切った生地を入れて挟み込むようにすれば、もしかして縫えるのかも……)
『ソーイング・ビー』のレース回を見ると、ぬいしろをただ片側に倒す方法が推奨されている。
審査員のメイは「切りっぱなしでもそれほどほつれないし、表からも目立たない」と話していた。裏地をつけるなら、それでいいのかも。
肩はバイアステープでくるんだら、ぬいしろが重なって厚くなり不細工になった。
デシンのぬいしろは折りふせぬいでよい。
レースに重ねる場合は表から透けるし、裏では肌に当たるので両面をきれいに仕上げる必要がある。
後ろ中心を袋縫いなんかしたのは失敗だった。練習用として濃色を選んだため、目立たなくて救われた……。
ループがまっすぐに縫えない
ループはデシンのはぎれを使用し、失敗作を山ほど作った。
慎重に線を引いてその上を縫ったのが一番マシな出来に。線は引きにくいが最初からこうすればよかったな……。
ループを付けるときは特に細かく縫わないと簡単にすっぽ抜けてしまうので注意が必要だ。
最難関:襟ぐりの処理
襟ぐりは最も困難だった。カーブの底で裏地に細かいシワができてしまい、ステッチで押さえようとしても、裏地に引っ張られ表に醜い凸凹が生まれる。
どうもカーブの底がうまく縫えていないようだ。
上から見るとこんな感じ。
いろいろ試行錯誤した末、裏地を控えつつ、縁をふっくら仕上げるために、内側5mmにぐるりと「星止め」を施した。
「星止め」は《ダルマ手縫い糸》の本で見て知っていた。
表と裏をそれぞれ1mmぐらいずつすくい、縫い止めていく。縫い目を引きすぎず、ふんわりキープするのがポイントだ。
少し凸凹しているが、裏地も控えられたし、まあまあ許せる出来となった。
袖は別の型紙を流用した
型紙では、袖は裏地を使用したタックスリーブでカフスを付ける仕様だ。これを「タックなし、レースの袖」に変更するため、別の型紙から袖を取ってきて流用した。
形としては前後がほとんど同じ形のタイトスリーブで、「いせ」は5パーセントぐらい。
型紙の袖ぐりを柔らかい定規をあてて測り、計算が合ったのでこれで良しとした。
参考資料:『誌上パターン塾 vol.1トップ編』p137、「完成した身頃Aの襟ぐりをもとに製図する」を参照した。
袖付けは手縫いで何度かやり直した。
脇のところは平らにしてなるべく肩側がふっくらするように、余った布地を配分しクリップで止めつけ、適当に伸ばしながら縫い合わせるのが良さそうだ。
当たり前だが、縫い目が滑らかにつながっていないと曲線が美しく出ない。
完成写真
柄合わせとレースの縫製はまずまず成功だ。
裏地は、縫い目にできたパッカリング(=細かいシワ)がひどい。
こういうとろんとした生地は、縫い目が平らでないと、吊るしたときにこのように醜く引きつれるのだ。
表からは目立たないので一応着られる服として成立した。
母からの講評:
- これが練習作なの? アンタもお父さんといっしょで凝り性だねー。
- 襟ぐりのデコボコはこういう生地だから着たら目立たないよ。(←いや、そんなことない、シワが寄るから気になるよ)
- 薄い物を縫うときは、ストッキングを買ったときに入ってる厚紙ぐらいの厚さの紙を押さえの下に敷くといいよ。
感想
コットン多めのレースはハリがあり、思ったより縫いやすかった。
分厚いところは手回しで慎重に進めるなど、ミシンを傷めないよう気を遣って縫った。
問題はクレープデシンだ。
シワができるということは、おそらく、生地に対して糸の張力が強すぎるということだろう。糸調子を弱め、紙を挟んで縫うのが最適解と思う。
実際着てみると、とろんとして肌に吸い付くような感触が心地よい。挑戦しがいのある上質な生地と感じた。
夏服として仕立てるなら、もっと、シャリ感のある涼しい裏地を合わせるといいだろう。(もちろん、1重にして見せ用のブラ・キャミを着ければその方が簡単だ)
シルエットはゆったりして見えるが、生地が伸びないので着脱は少しタイトに感じた。
縫い方まとめ《例》
- レースは切りっぱなしで、ぬいしろを片側に倒す。
- クレープデシンはハトロン紙を挟んで縫う。 糸調子は弱めに、縫い終わりに糸をしごいて縮みを伸ばすなど、試してみる。
- デシンの始末は折りふせぬい。
- 襟ぐりの前は星止め。
- ダーツの先やループなど、細かい部分は縫い目を細かく。←縫い直しは不可
- レースは2.0mmぐらい、ぬいしろが重なる部分はゆっくり縫う。
- デシンは1.8mmぐらい。目が粗い方がほどきやすく、やり直ししやすい。
- デシンは縦が一番ほつれやすく、他はそうでもない。
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